バイオベンチャー創業記 成功した友達2

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


haruhicomをフォローしましょう

成功した友達2

  • 2006/05/18(木) 23:39:06

先日書いたAbmaxisの話の続きです。

この間書いたとおり、この会社はStanfordで出会った2人の研究者と
Genetechにいた1人の研究者でスタートした会社です。
いずれも中国生まれでアメリカに留学して
そのまま住み着いた中国人です。

それぞれのSpecialityは
1. Computer Biochemsit (生化学+情報工学)
2. Molecular Engineer (遺伝子工学)
3. Cell Biologist (細胞工学)

抗体のヒト化をやるのには極めてComprlementaryな関係で、

一人が配列情報を元にコンピューター上でシュミレーションをして
マウス抗体の抗原認識部位を
ヒト抗体の骨格に埋め込むときに
切り出す配列と繋ぎ目など付加的にいじる場所を決めます。

そうすると次の人がその情報を元に
実際に遺伝子のターゲット部分に
変異を入れたライブラリー
(様々な変異の組み合わせの遺伝子が入っているプール)
を作成します。

できたライブラリーから取れた抗体の候補を
細胞などを用いた評価系にかけてスクリーニングします。
選択された抗体を今度は動物細胞で発現させて
抗体の活性を評価します。

(ちょっと専門的でごめんなさい)

こうすると
コンピュータ上でシュミレーションするだけでなく
実際にヒト化された抗体が現物として提供でき
小さいながらもこれでワンストップサービスが提供できています。



彼らが一つ偉かったのは
いずれも研究者でビジネスマンが分からなかったので
早い段階からチャイニーズコネクションでCEOを連れてきて
経営を任せたことです。

よく日本のベンチャーで見かけるのは
シーズを提供した大学の先生ががんばっちゃって
社長になっているケースですが、
これははっきり言って無理だと思います。

契約書の書き方一つ
財務戦略の立て方一つで
会社の命運がいかに変わるかということが
分かっていないから
そんな大それたことができるのだと思います。

一番良い方法は
信頼できる経営者を連れてきて
自分は取締役兼SABとして
意思決定に参加することで
執行役になるのは懸命ではないと考えます。

彼らが連れてきたのは元Genentechのtreasurer、
その後PDLでCFOをやっていた女性で
Shirley Crayton
すんごく人はいいけれど
すんごくやり手のオバサン(おばあさん?)です。

いつも火が吹いている台所を
あちらこちらに支払い延期あるいは
踏み倒しをしながら切り盛りして
売却までぎりぎりで漕ぎ付けた人です。

こちらも台所事情を知っているので
多少甘めの支払いをしたことも事実で
(ただ最終的にはしっかり結果は出させました)
随分前職の取締役には突っ込まれましたが
あの会社が出してくるヒト化抗体が無ければ
我が社のプロジェクトも飛んじゃうので
仕方が無かった話だったのです。

ただ、彼らが必死であった分だけ
似たようなことを提供している大企業よりも
柔軟性も良く
スピードも速く
結果的には我々も随分助けてもらったのは事実です。

期限までに結果を出すために
毎晩随分遅くまで仕事をしていましたし
土曜日も日曜日も無く仕事をしていたのを知っています。

彼らのお金の出し手は
これもまたチャイニーズコネクションで
香港のVC。
リファイナンスにも応じていたようで
結構懐の深いVCだったようです。
でも決してギリギリまでお金を出すわけでもなく
甘いVCではなかったと思われます。


Abmaxisと契約するときは
いつもほとんどが口約束で、
思いついてから契約をまとめるまでの
時間が惜しかったので
「後で契約書をなんとかするから
取り敢えず始めてよ。」
「いいよ」
なんて感じでした。

また契約書と言ってもTerm Sheet(覚書)程度のもので
我々はIPOの準備をしたときに
デューデリに入った弁護士から指摘を受けて
ヒーヒーいいながらこれを全部本契約に変えて作業をしました。
多分Abmaxisが売却ではなくPOを狙ったとしたら
書類不備で永遠に上場できなかったと思います。


彼らがMerckに買われる形で成功にいたった理由は僕なりに考えると

1. プラットフォーム技術があったこと
  プロダクトはある確率でこけますが
  プロダクトを生み出すエンジンは
  失敗しても
  何度でも使えます。

2. 相補的な人材が揃ったこと
  立ち上げの初期に創業者の3人と経営者の1人が
  うまく揃って
  会社がそれだけで回る環境ができたことです。

3. ものすごくモティベーションが高かったこと
  彼らは自分たちの技術を信じていたので
  突き進めば絶対にうまくいくと思って
  ものすごい努力をしたと思います。
  別に長く働くのが偉いわけじゃないですが
  彼らは効率も高い上に長時間働くという
  スーパーマンみたいなこを実現していました。
  それを支えていたのはモティベーションです。

4. いい客がいたこと
  我々のことです、本当に。
  まあ中国人と日本人は随分違うところもありましたが
  アジアの同胞という部分で
  随分共感し会える部分もあり
  成果に拘って、形式に拘らない
  割と仕事がやりやすいクライアントであったと
  自分で思います。
  また困ったときには僕だけではなく
  会社の他のメンバーも随分いろいろ助けてやっていました。
  おかげで会社ぐるみで結構なかのいい関係でした。
  マジで我々の方に足を向けて寝られないはずです。

5. いいネットワークを持っていたこと
  チャイニーズコネクションを始めてとして
  ほとんどの仕事もファイナンスも
  ネットワークで取ったものです。
  Merckとのディールも
  きっかけは旧知の関係であったと聞いています。
  これは結局人としての信頼があったので
  それがベースになって
  スタートアップにも引き継がれたということでしょう。


我々も彼らに習うべきところが
随分あるなーと思います。

彼らぐらいがんばらなくっちゃ。


haruhicomをフォローしましょう

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。