バイオベンチャー創業記 No Money, No Development

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No Money, No Development

  • 2011/04/15(金) 21:00:00

創薬ベンチャー(BV)とは何かと言われれば
画期的な新薬を作ることというのは正解でしょうが
それはどちらかというと「本分は何か」の解であって
BVを1つの側面からしか見えていないと言えると思います。
なぜならそこにはお金という大事なプレーヤーの存在を見落としているからです。

Nomoneynodev

開発資金が途切れたら命脈の絶たれるベンチャーにとって
資金調達を考えずに開発をすることほど愚かなことはありません。
「いや、製薬会社だってプロジェクトにお金をとるのは大変なんだぜ。」
とおっしゃるかもしれませんが
実際に私も企業からの俸禄を食む職にしかついていないときには
そういうことだとしか思っていませんでした。
しかし、製薬会社はプロジェクトにお金がつかなくとも
プロジェクトは宙ぶらりんになりますが、給与は支払われます。
ベンチャーにおいてそんなホバリングのような真似はできず
そのまま墜落してしまうのです。

よくある創薬ベンチャーのキャッシュの推移
cashshallnotlast

さて、この最初の図で、資金ではなく資本と書きましたが
創薬には資本(正確には資本に基づく投資)が使われていることを示したいと思います。

日本を含め、先進国ではライフサイエンス投資には積極的な国が多く
日本でも年間に約2.7兆円の投資がなされています。
このうち、政府の投資は約3割の8000億円です。
残りの1.9兆円は民間からの投資によります。

Kalorama Informationによれば
世界の製薬・バイオテック企業1400社で2009年には年間$95B(約8兆円)
上位15社で$73BのR&D投資がなされています。
これは「資本主義」市場から調達されたお金なのです。

financebycap2
Source:経済産業省研究開発投資と科学技術水準の動向を元に独自推計(注記の無い数字は資料中に記載の実数)

上記の投資はベンチャーも製薬会社も含めた総額ですが
このうちベンチャー投資はWWで$5.4B(約4500億円)ぐらいです。

Global biotech venture capital investment in 2010

biotechinv2010.jpg
Source: Nature Biotechnology (クリックで飛びます)

このベンチャー投資の資金を支えるのは
ベンチャーキャピタル(VC)なのはご存じの通りですが
なんでそんな投資主体が必要なのかといえば
それはリスク許容度と必要資金が資本の種類によって異なるからです。

riskbystage

開発の初期にあるシーズには高いリスクがあり
製薬会社の使っているようなリスク許容度の低い資金は適していません。
一方でかかる資金も比較的小さいので
リスクをとるプレーヤーの資金を使うのが妥当です。

下の表は市場別、バイオテックの時価総額規模別のポートフォリオの株価推移ですが
一見して分かるように、株価の値動き(ボラティリティ)が圧倒的に異なります。

volatility
Source: Burrill and Co. (クリックで参照元にとびます)

これは上場企業の株価ボラティリティですから
VCが投資を行うようなScrap and Buildが頻繁な未公開企業で考えたら
より高いボラティリティになっています。

では、こうしたボラティリティの高い企業は「悪い企業」でしょうか。
あるいはこうした企業に投資をする投資家は「邪悪な投資家」なのでしょうか。

ここで冒頭の「バイオベンチャーとは何か?」という問い解になるわけですが
BVは
開発面においても資金面においても高いボラティリティを与える存在
ということが言えるのではないかと考える訳です。

つまり、製薬会社がまだ手を出さないような
? アーリーステージの段階のプロダクトを
? リスクをとれるような資金を使って
? いちかばちかの開発を行い
? 成功したあかつきには取ったリスクに応分してリターンを配分する
企業体ということかなと思います。

したがって、リスク=リターンの関係においては
この役割分担は上手くいくのですが
この話には大きな落とし穴があって
それは流動化リスクです。

市場がある程度合理的であれば
リスクに応じて価格が決定してリターンが得られますし
また最終的なゴールに行き着かなくてもバトンを渡すことができるのですが
これは市場に「載る」ことが前提になっています。

ベンチャーにおいてIPOとかM&Aとか、いわゆる「EXIT」に拘る必要があるのは
こういった流動化が必要であるからです。
これは初めから上場企業にいて市場の資本をあまり困らずに使える人には分からないかもしれませんが
BVにとって、あるいはファンドの満期をもっているVCにとっては
非常なプレッシャーになるわけです。

業界でこの流れの中にいる人にとっては
何を当たり前のことをグダグダ書いているのだという感じなんですが
こういった期限のついたお金をあまり意識しない人には
永遠に分からない感じかも知れません。

まあ、長い話のポイントは何かというと
薬を出すのは重要なのですが
同じぐらいの重要さで資金を付けるのが大事で
そして同じぐらいの大切さでそういったリスクをとってくれる投資家に
感謝をし、一緒に流動化については考えてあげないといけないという話です。

No Money, No Developmentですし
No Opportunity, No Investmentというのもまた然りです。


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