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Biotech VCの避けるべき条件
- 2010/11/09(火) 00:00:01
US Venture PartnersのCasper de Clercqの話から。
Biotechへの投資が厳しくなっているのは日本だけではなく
USも状況は同じです。
でもご心配なくという状況ではなく
より真剣に道を探さなければならないということです。
そんな状況下において投資をするにあたって考えなければならないのは
• Riskと機会のサイズ
まともにリスクと機会を発生確率でぶつけたらリスクは分が悪いですし
一方でだからこそ機会の最大値はリスクに比べて十分に大きくないと意味は無いわけです。
• Liquidity
慈善事業ではありませんからどうやって投資をExitするかということです。
ただし、日本のVC業界にある回収という考え方は米国VCには一切ありません。
(念のために日本のVCを少しだけ弁護すると、米国では現金ではなく株式でVC投資家にリターンを出すことが出来ます)
• 最後にCash Demand
当然ながらお金のうんとかかる業界ですから
シナリオ別にどれぐらいお金がかかって
どこまで自分たち(シンジケート)で支えきる腹かということですね。
今現在の米国のバイオVC業界のIPOおよびTrade SalesによるVCのリターンは年間$8-10Bで
一方で投資額は$3-4Bだそうですから
業界全体のリターンはX2でしかなく
その期間に取っているリスクを考えると
あまり割の良くない投資と言えます。
だからこそ有効なストラテジーとポリシーをもって投資をしなければ
儲からないわけですが
黄金則というのはやはり内容です。
ただ経験的に「避けるべき」だと彼が考えるのは
• “Bad” science
これはわかりやすいですね
• Combined target and molecule risk
ターゲットが明確で無かったり
そもそも病態との相関が明確ではなかったり
あるいは作用機序がはっきりしないのはだめというのが
• Long and large clinical trials
これもわかりやすいですね。臨床試験の期間が長かったり、大規模になるのは
お金がかかるので回避をするということです。
ただし、自分でやらないというのも選択肢です。
• Indications with high safety hurdles
これは対象疾患がLife Threatningではなくて
安全性上のハードルが高いようなものを指します。
• Poor surrogate end points
エンドポイントが生存期間だけで3年も追いかけなきゃならないものは
時間がかかってすなわちお金がかかるからですね。
• Inexperienced drug development teams
サイエンスがどんなに良くても
開発が分かっていないチームには投資をしないということです。
これに加えて大原則だといったのが
"D"に投資をするのであって"R"には投資をしない。
すなわち"R"ができあがっていない案件は投資の対象ではないとの事です。
最近はVirtual Biotechと呼ばれる(私は「屋台型ベンチャー」と呼んでますが)
人数が10-15人ぐらいで
Trade Salesをエグジットとして設定して
IPOのための管理部門を持たずに単品で勝負するようなVBが
IPOマーケットの不調を背景に米国で増えています。
こうなるとマーケットのブームではなく
真の価値で評価されることになるわけで
会社側も投資側も真剣に脳みそに汗をかかないとイケないようです。

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