バイオベンチャー創業記 バイオテックの成功とリーダー像

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バイオテックの成功とリーダー像

  • 2010/05/11(火) 00:00:01

これは共有しておかなければと思い
久しぶりに更新を試みてみます。

BIO2010@Chicagoのセッションの一つで
"Building Shareholder Value: Innovation in Science and Business"
というのがありまして
先般上場したIronwoodのCEO,Peter Hechtと
Fate Therapeuticsの現会長で、BMSに買収されたAdnexusの元CEOのJohn Mendelin
AchaogenのCFO&VP OperationのJohn Doyle
さらには古くは異業種のAppleやIntelへの投資
バイオではIDEC, Centocor, IlluminaそしてIronwoodの投資で成功したVenrockのBryan Roberts
(こいつはキチガイみたいに頭のいい男)の対談がありました。

超目玉で面白いと思ったにも関わらず
出席者わずか30人ぐらいのなんだか超クローズドなセッションになっていました。

あらかじめ用意されたObjectivesは

1. Offer alternative solutions to a common problem.
2. Define criteria for identifying an appropriate financing solution.
3. Showcase case studies to illustrate the trend.

ということでしたが
直近のIronwoodの成功を踏まえて
「何がバイオテックの成功のポイントよ!?」
みたいな予想通りの展開になり
かなり面白いコメントが続々と出てきました。

そのなかで面白かったところを数点。

まずバイオの投資を何に基づいて評価・判断すべきか?
全員一致の見解。
NPVもDCFも死んでしまえ」と

バイオ投資の本質的なポイントは上手くいくかどうかで
まともにWACCを25とか30%に設定して計算したら
NPV<0は当たり前だと。
なぜなら遠い未来にしか収入が期待できないビジネスモデルだからです。

業界全体の評価としても
むらなくポートフォリオ化したら期待リターンはマイナスなのは公知で
平均値や経験値の議論はまーーーーったくナンセンスだと。
むしろ異常値("Outlier"あるいは"exceptional"という言葉を使っていました)を如何に探して
如何にそれを生み出すチームを作り出すか
がすべてだというのが共通見解でした。

究極には必要とされている薬を作ることが全て
患者がいて、ニーズがあって、それに本当に価値を提供する薬であれば
投資であれ、助成金であれ、あるいは規制の緩和など
何らかの形で社会がその開発を続けさせる環境を与えるので
そこで初めて株主価値の最大化の議論になります。

そして本当に薬が上市されることになれば
それまでのDCFなどの議論がまったく無駄であると思えるほど
誰もがリターンを得られることになるということです。


とりわけ数字が好きな関係者の間では
市場規模は十分なんですかねとか
ここに至るまでに開発は何年かかるんですか?18か月ですか、それとも24か月ですかと
取らぬ狸が宝くじに当たるかどうかという議論に終始してしまいがちですが
それよりも
これを成功させるには誰に頼んだら確率が上がるかとか
この疾患の既存治療法はここが問題だから
こういったニーズは確かに見込めるといった議論の方が
遥かに意義のある議論かのように思います。

DCFの計算をやったことのある人かたはお分かりだと思いますが
成功確率を80%と取るのか
10%と取るのかで
後の市場規模云々の議論は吹っ飛ぶぐらいのインパクトが現在価値にあります。
これはすなわち理論上だけでなく、現実世界でも
成功確率こそが価値を決める最大のドライバーで
あとはおまけの前提条件にすぎないことが分かります。


またパネルのメンバーを見ての印象ですが
マネジメントの思想とか思考の厚みが
はっきりいって日本のマネジメントの遥か上だと感じました。
日本のバイオテックの社長で
あれぐらい明確にビジョンやポリシーを筋道だてて説明するのを見たことがありません。

またああいうマチュリティ、バランス感覚とか
プロフェッショナリズムとか
本質的な向上心みたいなものに対して
やはり多くの母集団の中から選ばれてきたせいか
表現系において圧倒的な差をまざまざと見せつけられる思いがしたのでした。
若いんですよ、みんな。
多分全員40代です。

うーん。
世界のトップクラスはあの辺です。
まだまだ精進が必要だと思ったのです。


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