バイオベンチャー創業記 インフルエンザ命名法

スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


haruhicomをフォローしましょう

インフルエンザ命名法

  • 2009/05/14(木) 07:42:06

インフルエンザ命名法

インフルエンザの報道が多くされるようになって
A型だといわれてみたり
H5N1型だといわれてみたり
混乱したりする向きがあると思うので
簡単に書いておきますと

A,B,Cというのはウイルス粒子を構成するタンパク質のうち
M1とNPタンパクの違いによる分類です。
これにより病態的、形態的、遺伝子的な違いが出ます。

一方でH5とかN1というのは
エンベロープ(ウイルスの殻)表面上の分子である
ヘマグルチニン (HA) とノイラミニダーゼ (NA) というタンパクの
(C型ではヘマグルチニン-エステラーゼ, HE)抗原性の違いです。
flus


これらはいわば骨格の違いで
これに加えてHAとNAに小さな変異は継続的に起こっており
これが毎年流行する株や亜型を変えています。


正式名称で
A/Brisbane/59/2007 (H1N1)
といった場合には
A型で(ヒトから)ブリスベンで2007年に分類された59番目のインフルエンザ
ということになります。

今回の豚インフルエンザの場合は
Influenza A/Mexico/2009 (H1N1)

もうひとつ懸念されている鳥インフルエンザは
A/turkey/England/5092/91
となっています。
ちなみにその鳥インフルエンザではこんなに亜型が見つかっています。


以下、もう少し複雑な話です。

A、B、Cとある中で
変異の起きやすさはA>>B>Cで
B,Cはその変異の起きにくさのため
一旦免疫を獲得すると長いこと(場合によっては一生)免疫が持続します。
逆にAは変異が非常に起きやすく
広い宿主を持っているためだといわれています。

インフルエンザが
ある宿主動物内での感染で閉じている場合、例えば

 ブタ←○→ブタ
 ブタ←×→ヒト
 ブタ←×→トリ

の場合には
ブタで変異が起きても
ヒトには感染は生じませんが
ウイルスが変異によって宿主間の感染能力を獲得して

 ブタ←○→ヒト
 ブタ←○→トリ

となるとブタで組換えられて起こった
新たな亜型でヒトが免疫を持っていないものが
ヒトの世界にやってくることになります。

でもこの段階はまだよくて
ブタへの接触を限定すれば
ヒトの世界では広まりませんが
ウイルスがさらに変異をして

 ヒト←○→ヒト

の感染能力も獲得すると
大変な事態になります。
今回のブタインフルエンザは
まさにこの状態にあるといえると思います。


一般に

 ヒト-○→ブタ
 トリ-○→ブタ

のパターンは多く成立し
それがゆえにブタはインフルエンザの
媒介動物として名をはせています。

先のA型のHAとNAの抗原型では
(H1~H16)×(N1~N9)
の組み合わせが
現在のところ可能性としてあるすべてのもので
水鳥においてはすべてが見つかっていますが
これまでにヒトで流行したのは
(H1, H2, H3)×(N1, N2)
の組み合わせなので
問題となっているH5N1型トリインフルエンザが
人間界にやってくると
免疫がないのでパンデミックになる可能性があります。

ワクチンはこの亜型毎につくらなければならないので
毎年流行する亜型を予想して
厚生労働省医薬食品局血液対策課長からの通知により型を決定し
半年以上前に製造に入るわけです。
この半年というリードタイムは
有精鶏卵でウイルスを培養するするためで
このリードタイムのせいで
流通するワクチンの型と
流行するワクチンの型がずれて
効かなかったりします。

現在は遺伝子組み換え技術によって
このリードタイムと製造能力を上げる研究開発がなされています。

参考:
Virology Blog
Virus Taxonomy Online
感染症情報センター:インフルエンザパンデミックの深刻度の評価


haruhicomをフォローしましょう

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。