バイオベンチャー創業記 Dynavax got $30M but...

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Dynavax got $30M but...

  • 2007/07/20(金) 14:40:14

Dynavaxが$30M(37億円)の資金を調達した。
しかしこれはエクイティーファイナンスではなく
かなりややこしいスキームのプロジェクトファイナンスによる。
(新株予約権付社債ですね)

Deerfield Capital Management LLC
$13.2 billion(1.6兆円)の資産を運用するいわゆるファンドである。


Deerfieldは$30Mの借金の枠をDynavaxに最大3年間与える。
$30Mは自動的に借りられるわけではなく
両者で合意したマイルストーンを実現すると
枠が$30Mまで徐々に広がることになる。

この$30MをDynavaxはブタクサ花粉症の治療薬と
ダニおよびピーナッツアレルギーの治療薬の開発に使える。

一方Deerfieldはまず年間$5.9%(=$1.8=2.2億円)のフィーを取る。
次にマイルストーンをDynavaxが実現すると
実現した日から遡って15日間の平均株価+20%の行使価格で
ワラント(ストックオプション)を獲得する。
最大獲得数は555万株分で
現在の発行済み株式数が3974万株だから
最大12%の株式を獲得できる。
手始めに契約時に555万株中の125万株分の
ワラントを$5.13で獲得(現在取引価格$4.52)した。

ただし、開発に失敗した場合には
$30Mのうち$9Mまでは返済義務が無い。
しかし残りの$21Mは2010年の7月までに返済しなくてはならない。

つまり大筋ではこうなる。

1.上手くいった場合

Deerfieldが獲得するもの:

A. $5.5Mのフィー(3年分)
B. 社債の返還 $30M(無利子)
C. 現在の企業価値$180Mの12%相当のワラント(新株予約権)
  →Σ(Δ(デルタ)企業価値増大分-20%(プレミアム))x各回行使分比率(合計12%)
   ここをいくらと見積もるかですが
   Dynavaxはプロジェクトが好調だったときに$300Mの企業価値がついていたので
   現在との差額はざっと$100M
   それぐらいまでいくとする。
20%のプレミアムは$40M-$60Mになるとして
   残りの企業価値増大は$40-60M
その12%だから$5-7M
大体合計で$10Mが$30Mの元手で獲得できる。
年利で10%ぐらい。

Dynavaxが獲得するもの:

プロジェクトの成功のときに増大する企業価値-手数料など
荒い計算をすると
Δ現株主分の企業価値:$300M/1.12(希釈分)-$180M=$90Mぐらい
手数料$10M
差し引き$80M(こちらも年利換算で10%ぐらい)

2.上手く行かなかった場合

Deerfieldが回収できるもの:

A. 最大$5.5Mのフィー(どこまでで撤収するかによる)
B. $9Mを除く残りの債権(=最大$21M)×回収可能率
C. その時点までに獲得したワラント(多分紙くず)

たとえば平均で1年$10Mずつ貸すとすると
1年あたりで$3Mの債権は放棄しているので
$7Mが返還される
これに$1.8Mがフィーで回収できるので
実質的には$9Mが最大で回収できる。
ただし、このプロジェクトが上手くいかないとなると
会社清算の危機にもなるので
$7M分がどれくらいの確率で回収できるかになるわけだが
清算の際の優先率を高く設定していれば
これぐらいは回収できるようになっているに違いない。

Dynavaxが獲得できる(た)もの:

みんなが失敗すると踏んで投資しなかったのに
プロジェクトを復活できるチャンス($30M)



何でこんなスキームになったかというと
年初のTOLAMBAのPhIII失敗があり
普通のファイナンスができないからであろう。

そこで買い叩きファンドのDeerfieldcapitalと
もう一度復活にかけるDynavaxの意志が一致して
こうなったと思われる。

さて、どうなりますかね。


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この記事に対するコメント

資金調達の枠組みもややこしいですが、新たに開始される試験も複雑そうです。

以下の説明を読むと、まず被験者をブタクサ花粉の部屋に閉じ込めてアレルギー反応を調べ、重症だった患者を対象にして再度ブタクサ部屋に閉じ込めてTOLAMBAの効果を調べるという方法でしょうか。

こんな試験で得られた結果でTOLAMBAの承認は得られるものなのでしょうか?この試験の構想の妥当性についてご意見伺えると嬉しいです。

The company plans to initiate a 300-patient, randomized, placebo-controlled environmental exposure chamber (EEC) study of TOLAMBA in the fourth quarter of 2007. Patients will be screened and selected by exposure to ragweed allergen in the EEC to identify those with confirmed severe ragweed allergic disease. Patients will be enrolled and randomized to placebo or TOLAMBA treatment, then treated and re-exposed in the chamber to determine the effect of the six-week, six-injection TOLAMBA regimen.

  • 投稿者: biotoday
  • 2007/07/21(土) 10:05:32
  • [編集]

これには理由があります。

Dynavaxが米国アレルギー学会で報告していたのですが、
先のphIIIでは花粉の飛散量に地域差があって
コントロールが取れなかったのが
優位差が出せない理由で
実は地域別で見ると優位差がホントはあったそうです。
実際にデータを見る限りはホントそうでした。
ただかなりマージナルとしか言いようが無い程度ですが。

で、部屋に閉じ込めて花粉を飛散させる試験は
実は他のアレルゲンで既に行われていて
ある程度確立されている方法です。
こちらは試験のコントロールに関してだけ言えば
あきらかにやり易く、データも出やすいと思います。
しかし参加者が果たして十分集まるかどうかは疑問です。
ただでさえ花粉症に苦しんでいるのに
無理やり外的な負荷をかけるわけですから。

  • 投稿者: はる
  • 2007/07/21(土) 10:17:35
  • [編集]

なるほど

解説ありがとうございます。一般的な試験なんですね。

この試験結果で承認された場合にはTOLAMBA使用前に重症患者であることを確かめる必要がありそうですね。

  • 投稿者: biotoday
  • 2007/07/21(土) 10:25:33
  • [編集]

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