バイオベンチャー創業記 医療格差を考える

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医療格差を考える

  • 2007/09/22(土) 00:00:01

地方で深刻な医師不足に見舞われているという話です。

今回のエントリーの発端は実弟が医師不足に見舞われた根室に
派遣された話に始ります。

根室
根室医師派遣2

生のコメントは直接mixiご覧いただきたいのですが
mixiに入られていない方のためにダイジェストを書くと
市立根室病院に医師を送り込んでいた旭川医大が
それ自体の医師の確保ができなくなり
医師の派遣を取りやめて
常勤医師がいなくなり
困り果てたところに
姉妹都市の黒部市に派遣の依頼があり
弟を含む数人が交代で3週間派遣されたということです。

医師不足:根室市の市民グループが要望書 厳しい現状訴え

地方の医師不足は以前から問題ではありましたが
なぜ急にこんなに医師不足がすすんだかというと
医師の研修制度の変更が原因のようです。

医師の研修制度の変更というのは
平成16年4月から必修化された医師の新臨床研修制度のことです。
新制度のポイントの1つは
卒業後2年間のインターンが努力目標から義務化されたことにあります。

この変更の狙いは

「臨床研修を通じて医師としての人格を涵養すること」
「プライマリーケアへの理解を深めて、患者を全人的に診ることができる基本的な診療能力を涵養すること」
「アルバイトをしないで研修に専念できる環境を整備すること」

の3つにあるそうです。

参考:
金沢大学報「新しい研修医をこれからどう迎えるか

ここで掲げる理想はある程度理解の可能だといえます。
しかしこれが原因でいくつかの医師不足が起こってしまったのです。
崇高な理想とは異なり
この新研修医制度によって医師は研修する病院の選択ができる
「マッチングシステム」を導入したことにより

 面白い症例のない病院や
 楽しい環境が周りにない病院や
 キツい勤務環境のある病院

を研修医が選択しないことになり
結果として田舎の病院を敬遠するようになったのです。

参考:
週刊医学界新聞【特別寄稿】マッチング,新臨床研修制度
「これだけは言いたい」-怒れる現役医学生たち
新医師臨床研修制度に関する調査 集計結果
pfizerフォーラム:新臨床研修制度のインパクト

これまでは良くも悪くも大学の医局が
「適当に」研修医を配分し
それによってある程度の配分が成り立っていましたが
これが自由意思にゆだねられるようになったため
その配分が崩れてしまったのです。




医療格差には

 収入格差(所得によってうけられる医療の格差)
 地域間格差(地域によって受けられる医療の格差)
 診療科間格差(診療科によって異なる医師の待遇格差)
 (e.g.小児医療クライシス)

があるといわれています。
この新制度は特に2番目の地域間格差に
深刻な悪影響を与えてしまったようです。
問題は理念ではなく
運用するにあたってをとったことにあるようです。

この医療格差を生み出しているのが
「平等」を目指した医療制度に起因しているというのは
皮肉な話です。

参考:
東京新聞サンデー版 2007年6月10日
【大図解】医師不足 苦しむ地方(No.789)

道標 Guideboard(相当手厳しいサイトで備忘録的ではあるが、非常に詳しい)



医師サイドの就職先選択の自由というものもあり
いろいろな事情で勤務地を選択したいお医者さんもいるわけで
また正当な競争の結果それを自らの意思で獲得することを
妨げるべきでもありませんので
なかなか難しいところですが
それにもまして最上位に本来的にあるべきは
「医療への貢献」あるいは「患者を助けること」
という大命題であり
そういった命題はむしろ医師だけのものではなく
国家としてのポリシーの問題であるはずですから
その命題に真剣に取り組もうとするお医者さんにたいして
悪平等ではなく公平な待遇を
与えるような政策が求められると思います。

例えば日本は少子化で困っていますが
これは親たちを金銭的な補助や控除で助けるだけでは片手落ちで
夜中でも医療を求められる産婦人科がきついという理由で
医師が敬遠する現状を
その努力を厭わないお医者様をサポートするような
政策を出していく必要があると考えます。

大臣の変わった厚生労働省ですが
年金ばかりでなくこういった問題も
解決していっていただければと思います。


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この記事に対するコメント

現場も大変です

古い時代の外科医の最後の世代になって、後輩もおらず、年老いて役に立たない上司の下でいつまでも下働きのまま、医局のいいなりで、過疎地域の病院に縛られるは御免だと常々思っています。
田舎でもいい医療を提供しようという思いで頑張っていますが、正当に評価してもらっているとは到底思えません。勿論報酬面もそうですが、訴訟などにおびえずに、萎縮せずに、もう少し守られた立場で医療・研究できるような身分保障して欲しいと思います。それができないなら、欧米並みの報酬が欲しいものです。
医師の移動を自由化し流動化すると当然偏りが出てくるわけで、そうすると待遇や報酬にも市場経済を導入せざるを得なくなってきますね。
医師の偏在に関しては、今のところ有効な解決策はないようですね。医師不足病院に補助を手厚く、研修医が沢山集まるような病院には少なくといった案がありますが、これだけで解決するとは思えません。
行政・医療関係者・一般の方みんなが危機感を持って考えていかないといけませんね。

  • 投稿者: 実弟
  • 2007/09/23(日) 13:16:22
  • [編集]

それは政治の問題でしょう

医療制度の大命題はシンプルで

医療機関やその従事者
あるいは製薬会社などの関連事業業者に
適切なインセンティブを与え

行きすぎずまた足りないことが決してない
適切なレベルの医療

適切な財源負担

実現することです。


従って、まず適切な医療というのは何なのかを
正しく定義して
(何でも願いを叶えるわけにはいきませんから)

それを実現するための必要な予算の
入りと出とその配分を設定することが
(場合によっては自由競争に委ねて設定しないことも含めて)

政府に求められる仕事です。

現状では

国民皆保険制度とその財源負担
また公定薬価(医療費)制度などは

明らかに歪になっていると思われ
改革を必要としていることが明らかです。

歪めてきたのは
制度を所与とする役人的無関心さと
既得権益を守ろうとする利益団体と
変えようとしても変えられなかったリーダシップの不在です。

強力なリーダーシップを持って
医師会などの偏った利益団体に媚びることなく
あるべき方向に誘導するのは政治の仕事で
これまでの政府はうまくできていなかったと思います。
(あるいは問題認識そのものがなかった?)

今日決まった自民党総裁そして総理大臣は
これを是正できますかね。
無理っぽい気がしますがね。

  • 投稿者: はる
  • 2007/09/23(日) 17:09:09
  • [編集]

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  • 投稿者: -
  • 2007/09/24(月) 20:14:25
  • [編集]

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