バイオベンチャー創業記 監査役

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監査役

  • 2007/04/19(木) 00:00:01

会社の体制について長いこと頭を悩ませていることがあります。
大会社になると監査役会を設置しなくてはならなくなるということです。

大会社というのは法律的な定義においては

最終事業年度に係る貸借対照表において

 A. 資本金が5億円以上であるか、
 B. または負債が200億円以上であること
     (正確には負債の部に計上した額の合計)

が要件となります。
従って決算期内にAあるいはBの要件を満たすと
次の決算期から大会社になります。

ベンチャーの場合
資金調達を行いますと
資本金には登録税がかかりますので(本来的にはそういう理由ではないですが)
資本準備金を50%にします。(これが上限です)
つまり調達額を資本金と資本準備金に50:50で振り分けます。

従って調達額の通算が10億円を超えた次の期から
大会社になります。

大会社になると下の義務が増えます。

○ 会計監査人の設置
○ 委員会設置会社以外の会計監査人設置会社には、監査役の設置
○ 公開会社(委員会設置会社除く)の監査役会設置
○ 取締役又は取締役会において業務の適正を確保するための体制の決定
○ 連結計算書類作成
○ 清算中の監査役設置

これは社会性がますので
より公正さと透明性を持たせるための規定です。

さてレグイミューンの場合、
これまでに7億円あまりを調達させていただいているので
今後3億円を調達した次の期から
なんとはやくも「法律上の」大会社になってしまいます。

さしあたって我々が頭を悩ませているのは
常勤監査役の設置です。

大会社の場合には監査役会を設置しなくてはならず
(注:下の小川様のコメントにあるように譲渡制限のある会社は監査役会の設置のみでよい)
(参考:新会社法における会社区分と選択できる機関設計
監査役会は3人以上の監査役で構成されなければならず
また半数以上が社外監査役で無ければならず
さらに監査役のうちの1人は常勤監査役でなければなりません。

ちなみにアメリカの場合、
監査役というものは存在していません。
ドイツにはあります。
これは一元性監査制度と二元性監査制度の違いによります。

株式会社の場合、
会社のオーナーシップは株主にありますので
(この辺は深い議論がありますがここでは割愛します)
会社の執行体制に対して
株主に代わってチェックする機能が必要であるというのは
両者に共通しているのですが
アメリカのような一元性監査制度にあっては取締役会が
日本やドイツのような二元性監査制度においては
取締役会と監査役会がこの機能を担います。

ちょっと脱線しますが
日本の株式会社において
取締役と監査役は変な位置づけにこれまであって
社員から出世すると取締役になって
ちょっとラインから外れると監査役なーんてことになっていましたが
こんなお手盛りシステムではチェックは働きません。

さて問題は3つの理由でこの監査役のなり手がいないのです。

一つ目は商法の改正により
監査役の責任が重くなったことによります。

2つ目は常勤であるがゆえに拘束されることによります。

3つ目は会社側の問題として
高額の報酬が払えないことによります。

1つ目は他に詳しいのでここでは割愛します。
  参考:あずさ監査法人 商法改正による監査役監査の強化と公開審査

2つ目は週に3日以上の出社が求められることにより
働き盛りの人ではなり手がいないことによります。
監査というのは会社でいうとブレーキのような機能になりますので
執行サイドからは煙たがられる存在になりがちで
かつこれから経験をつもうとする若い人の場合
執行に比べて得られるものが少ないつまらない仕事になってしまいます。
いろんな会社をご覧いただけばお分かりになるように
どの会社をみても高齢の方が多いのはそういう理由です。
経験を「積む」というよりは
経験を「使って」ブレーキをかける役になります。

高齢の方であること自体には問題は無いのですが
バイオベンチャーにおいては
社員に比べて著しく「」であることに問題があり
これがベンチャーで働く社員にとって
極めて奇異に映り
不満の温床になるこが問題なのです。

他の業種の場合
「大会社」になる時期には
本当に大会社であって
それなりのオペレーションの規模があって
それにともなってトランザクションも多く
それなりのチェック機能が必要になって
そこそこ忙しいと思うのですが
創薬ベンチャーの場合
資金の消費が激しく
重なる資金調達の結果
社員が10人なのに「大会社」になってしまうことがあります。
そうすると社員が10人に対して監査役が3人という
歪な構造ができてしまうのです。
オペレーションなんてたがが知れていて
一つ一つのトランザクションの額は大きいものの
社長もVCも見ている範囲で把握可能な程度の数で
監査役は非常勤で事足りる範囲のことが多いと思います。
(実際に以前の会社では監査役はよく寝ていた)

3つ目ですが
責任の重さからするとそこそこの報酬をお支払すべきなのですが
残念ながら我々のように「資本金だけ大きい小さな会社」では
あまり高額な報酬をお支払することができませんし
現時点の投資家の皆さんもそれを望んでいないと思います。
監査役にビッグネームをつれてきて
それ自体を看板にしたりすることもありますが
これは本来的な機能ではないので
監査役の招聘とは切り離して考える必要があると思います。

したがって、私たちの現状においては
監査役というものが必要ではない存在になってしまっています。
ただ適切なガバナンスは必要であると考えていますので
現時点で私は委員会等設置会社という別のオプションを考察しています。

これはいわゆる執行役員制の会社で
isologueで皆さんご存知の磯崎哲也氏が取締役を努める
カブドットコム証券
バイオベンチャーでいうとそーせいのように
取締役会の中に
 指名委員会
 報酬委員会
 監査委員会
の3委員会を設置する形態です。
各委員会は社外取締役が規定人数以上必要と定められていますが
常勤の監査役は必要としないので
適切な経営監視と
そこから権限委譲を受けたスピード感のある業務執行が
実現できると考えられています。

まだ少し先のことになりますが
体制作りに向けて考察をしているところです。


その他の参考
監査役
大会社
委員会等設置会社


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この記事に対するコメント

 ハルさん既に御存知の通り,会社法上の大会社でも非公開会社(全ての株式について譲渡制限有る会社)ならば,監査役会の設置義務はありません。
 しかし,適時に資金調達の必要なバイオベンチャーの場合,全ての株式について譲渡制限をつけるというのは実際的ではないですよね。
 今回の会社法制定の大きな趣旨の一つは,商法時代には機関設計が定型化,硬直化していて実際の会社運営に不都合が生じているケースが多かったところ,新たな会社法では会社の機関設計につき定款自治にまかせて会社の実態に応じた柔軟な機関設計を可能とするところにあります。
 ただし,会社の実態に応じた柔軟な機関設計を可能とすることで経営を合理化する要請の一方で,会社運営の適正化をはかり法秩序を維持する要請もあるわけで,この観点から機関設計にも一定の制約があるわけです。
 しかし,この制約は,必ずしもバイオベンチャーには適合しないところが悩ましいですね。
 立法担当官は,バイオベンチャーの実態をご存知なかったのかもしれませんね。
 法解釈ではどうにもならないでしょうから,将来の法改正を待ちましょう。
 それまでの間はなんとか凌いでいかなければなりませんが,経営者のご苦労お察し申し上げます。有能なハルさんならなんとか切り抜けられると思います。

  • 投稿者: 小川直也
  • 2007/04/19(木) 00:47:12
  • [編集]

小川様

コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、会社法の施行とともに実態に即して「ある程度」柔軟性をもった機関設計が可能になり、以前は有限会社に分類される可能性があった譲渡制限を有した大会社においては監査役会の設置は必須ではありませんね。

あずさ監査法人機関設計に関する項
http://www.azsa.or.jp/b_info/letter/76/01.html

おそらく私たちを含めてスタートアップにおいては譲渡制限を有している会社は結構あると思われますが、遠からず公開を目指すとする(=>譲渡制限を解除することになる)とやはり委員会設置会社を除いて監査役会を必要とすることになり、機関の連続性の観点からそれ以前に監査役会の設定をせざるをえなくなってしまいます。

またこれは上記エントリーでは触れられていないことですが、監査役の選任が現状の多くの会社においては会社側から提案されていることには大きな疑問を感じており、そうである限りにおいては二元性監査制度は無駄な機能のさらなる重複で、設置する意義を見いだせません。

ガバナンス設計は非常に難しい部分であり
理論的な意味合いに加えて
人的なバランスが結構響いてくるもので
会社ごとに背景と事情はいろいろ異なると思います。

  • 投稿者: はる
  • 2007/04/19(木) 01:22:49
  • [編集]

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