バイオベンチャー創業記 2011年02月

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金の卵を産む鶏は買いか? ー ラクオリア上場

  • 2011/02/22(火) 00:00:01

<新規公開株の内容に関わることですが
株式の売買は自己責任でお願いします。>


ずいぶん久しぶりにブログを書く意欲が湧いたので
書いておくことにします。

まずはラクオリア製薬の上場承認には惜しみない拍手を送りたいと思います。
私の周りに関与している方が随分いるのですが、
相当な熱意を持ってここまで計画通りに上場まで漕ぎ着けたことは
素晴らしい実行力であると感心をしております。

そういう事情もありますので、
上場の是非やバリュエーションの云々については
極力ニュートラルに影響を与えない書き方をしてみたいと思います。

この会社の上場のポイントは1点に集約されると思っています。
それは、
「エンジン」の会社にマーケットがどのような判断を下すのか
ということです。

この会社の大きな特徴であり、
強みとしているのは創薬エンジンであると認識をしています。
日本ファイザーの中央研究所からのスピンオフという出自もあって、
通常のベンチャーより大幅に研究サイドにシフトした人数構成になっています。

バイオテック企業は下記のいくつかのパターンに類型化できると思います。
1) プラットフォーム型 例:PDL, Alnylam
2) 創薬エンジン 例:Genentech, Amgen, Exelixis.
3) プロダクトディベロップメント型 (≒スペシャリティファーマ) 例:Ironwood
4) その組合せ

ここしばらくの米国を初めとするバイオテックのトレンドは
プロダクトへの傾倒でした。
従って、プラットフォームやエンジンそのものへの評価が下がり、
そういったものを持つ会社もそこから生まれるパイプラインの価値の総和で評価される傾向になりました。
結果、1)や2)に類型される企業も、
やむを得ずと言うこともあって3)の領域である開発に踏み込まざるを得ない状況を生みました。

一方で、歴史を紐解くと、
かつてトレンドの中心であったのはGenetechやAmgenといったエンジン型の企業で、
当初は何かのプロダクトをベースにして始まったわけでなく、
Amgenもインディゴの組換え体による合成とか結構シャビーなことをしまくっていて
EPOやG-CSFは語弊を覚悟で言えばいろいろやっていた結果、
たまたま辿り着いた成果ということができます。


最近になって歴史は巡ると言いますか、
不況などによるマーケットのモーメンタム減退によって、
出口を失ったベンチャーの資金環境は悪化し、
結果的に事業領域は少しアーリーステージにシフトせざるを得ない傾向にあります。
一方で製薬会社のパテント(クリフ)問題は、
直ぐにトップラインの売上を補完するレイター・ステージのプロダクトの導入を促進し、
価格を押し上げたと思います。
これは双方のニーズの間にギャップを生んでいます。

そういうこともあって、
今はいろんな事が上手く噛み合っていない状況だったり、
あるいはトレンドが変わる端境期にあるのでは無いかと感じています。

そこにラクオリアの上場は、
「創薬エンジンはどうよ?」
とむしろマーケットに対して質問をすることになるんだと思っています。

目論見書やHPなどから拝察しますに、
ビジネスモデルとしてはファイザーのシェルフにあった化合物たちを、
上市に至るまでの臨床試験の課程でドロップするリスクを
可能な限り排除するファイザー流の研磨技術で磨いて、
前臨床まであるいは臨床の毒性試験までやったところで
あとはそれぞれの疾患領域に強みを持つ製薬会社に里子に出すというモデルだと理解します。
従って、臨床でドロップするリスクはそれなりに低下しているものの
まだリスクは応分にに残っているわけですから
相当数の卵を産み落として
大人まで生き抜く期待値を超える数の
養子縁組をしていくことが前提になるはずです。
つまり「このこれからも金の卵を産み落とす鶏(エンジン)を信じて買ってみないか」ということですね。
(落語の「鶴亀」では困りまるってことですね)

従ってバリュエーションを構成していくのは

これまで養子縁組の済んだプロダクトの今後生んでいくであろう価値
(リスクを織り込んで)
           +
おそらく同じ(あるいはそれを上回る)らしい確かさで
今後も養子縁組可能なプロダクトを生み出す創薬エンジンの価値


ということになるハズです。
そして多分、目論見書の価格だと後者にウェイトがある。
これは相当な説明能力が求められる話ですが
そこに相応の信頼が得られれば買い手はつくと思います。
(といっても大和はもう引受ちゃうわけですが)

上場後のことを想像してみますに
価格を維持してさらに上積みをしていくためには
継続的に里子を作り続けなければなりません。
それは市場は見ていますから
「お、また来たね」
「またまた出るのかい?やるね」
「どうもこの会社はやってくれるじゃない」
となるようにしないといけないのでしょうね。
くれぐれも上場で息切れになって欲しくはなく
またそうならないように適切なインセンティブ設計・構成であることを祈ります。

ちょっと以前に会社の方にお会いしたこともあるのですが
意外と言っては失礼ですが
相当まともかつ真摯にやられているという印象を受けました。
これからも全力でやっていただけると信じて
業界の繁栄もかかっていますから上場する以上全力応援です。

今回は定量的な話を何も書かなくてごめんなさい。
でも目論見書は相当解析しました(笑)


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