「剥がし」
貸し剥がし」という言葉に記憶のある方は多いと思います。
2002年12月に金融庁が発表した金融機関の早期是正措置の厳格化に伴い
銀行が自己資本比率ガイドラインの維持のために
企業への融資を渋ったり
あるいはすでに融資している資金の積極的な回収に走りました。
特に後者のことを指して「貸し剥がし」と言い
企業が連鎖的に倒産するシステミックな問題を当時引き起こしました。

少し前に同業のとある社長さんと話をしていて
もしかして似たような状況が今起こっているのではないかと
危惧するようになりました。
いうなれば「投資剥がし」。

現在のエグジット環境は極めて厳しいところにあり
上場しても時価総額がかなり低いのは前述のとおりで
こうなると投資家にとって
継続投資ましてや新規投資は踏み込むのはなかなか難しくなっています。
投資が継続されなくなると何が起こるかというと
継続的に資金を必要とするベンチャー、特に創薬系は
開発は順調に進行するものの
資金が続かず潰れるということになります。
で、そんな未来がちらつき始めると
すでに投資をしたベンチャーにも先行きに不安が生じ始め
そんならばと残りをみんなで分けましょうか
という話になり始めているという話です。

そこへ持ってきて
投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い
いわゆる「ファンドの連結」に伴い
従来はVC事業の主要な売上として計上していたファンドからの設立・管理・成功報酬等の受取額は
連結企業集団内の取引として相殺消去され
少数持分損益として調整されることとなりました。

元はといえば
例のライブドアのような問題があって
ファンドも監視下に置かないと
悪いことをする輩が出るという発想にあると理解しているのですが
結果的にファンドを運用するVCは見掛け上悪い決算になることもあり
投資に関しても「見た目」を気にする運用をせざるをえなくなっています。
そうなると現在のバイオのような案件は監査法人も厳しくならざるを得ず
投資したらすぐに全額引き当ててくださいとか言われるケースもあると聞いています。

環境全体が悪いスパイラルに入っているので
どこが出発点で誰が悪いという議論では
問題解決にならないのでしませんが
誰も踏みとどまろうとしないならば
雪崩を打って悪い方に向かってしまう気がします。

投資はベンチャー投資に限らず
誰もが「駄目かも知れない」と思ったときに
ファンダメンタルの強さを信じて思いとどまった者だけが
大きいリターンが得られるというのが
バフェットおじさんの教えですが
産業全体の我慢の糸が切れかけているのではないかと危惧します。

バイオベンチャー支援200億円規模のファンド創設という話がでていますが
方法論については議論を残すところですが
いずれの手法によるにせよ
遅きに失しないことを願うばかりです。
【2008/06/25 19:00】 | バイオベンチャー道 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑

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